特等席の響きを再現するマイキング
- ヨウスケ ミサキ

- 4月16日
- 読了時間: 2分
映像を観たとき、まるで「その場に座っている」ような感覚になるかどうか。その鍵を握るのは、実はマイクの「立て方」ひとつにあります。
今回の三沢公会堂での撮影でも、私が「音の要」として全幅の信頼を寄せたのが、TASCAM X8のクロスマイクです。
1. 「ベストポジション」がもたらす圧倒的な定位感
ステレオマイクのセッティングは本来、向きや角度が数ミリずれるだけで特定の音が潰れたり、逆に不自然に強調されたりする非常にシビアな世界です。
私がこの機材を使う理由は、メーカーが長年の研究で導き出した「ベストな角度」にマイクが固定されているから。余計な迷いを捨て、現場で最も大切な「音の芯」を捉えることに集中できるのです。
ホールの空気感を閉じ込める際、2パターン選択できる設定で私が選ぶのは「クロス(AB方式)」。音が左右に自然に広がり、再生した瞬間に「あ、いま自分は客席の特等席に座っている」と錯覚するほどの高い定位感を実現します。

2. 現場の状況に合わせた「引き出し」の数
もちろん、どんな現場でも同じ立て方をするわけではありません。状況に応じた最適な手法を使い分けます。
ディテールを追う「接近戦」: レコーディングなど環境が許す場面では、弦楽器などのすぐ近くにマイクを忍ばせ、運指の音や楽器の鳴りまで生々しく捉えます。
「黒子」に徹するバウンダリー: 一切のマイクスタンドが許されない厳格な舞台では、床に置く「バウンダリーマイク」の出番です。そのままではこもりがちな裏面の音も、適切なイコライジング(補正)を施すことで、クリアで芯のある音へと蘇らせます。(意外とそのままでも使えたりします)

マイクスタンドNGの配信コンサートでしたが、さりげなくマイクを近接させることで客席の咳払いが聞こえなくなるという効果も
3. 音を「作品」として持ち帰る
これらのマイキングは、音響の世界ではよく使われる手法ですが、現場ごとの「正解」を見極めるには経験が必要です。
SOUND COCOONでは、テレビのスピーカーだけでなく、ぜひヘッドホンやオーディオシステムで聴いていただきたいと考えています。そのために、映像納品だけでなく「高音質CD音源化」にも対応しています。
目に見えない「音」にどこまでこだわれるか。それが、10年後に見返したときの感動の差になると信じています。




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