FX30とFX2のAPS-C運用【濃いめ記事】
- ヨウスケ ミサキ

- 6月8日
- 読了時間: 5分
更新日:6月9日
先日UPしたFX30の記事が予想以上にクリック率が高かったのですが、AIの手も借りつつ噛み砕いて説明したため、少し実戦的な部分が伝わりにくかったかもしれません。
今回は、機材名で検索してこられるような同業者の方や、新しいビデオカメラを探しているハイアマチュアの方にも刺さるよう、専門用語とリアルな数値をマシマシにして、FX30と最新シネマラインFX2のお話を書いておきたいと思います。
現在所有しているFX30とFX2。SONYのシネマラインとしては最小のカメラに属し、「ミラーレスカメラがちょっと厚みを増しただけ」くらいのサイズ感です。
大きいカメラでないと高画質にならなかったのは過去の話で、現在では、このコンパクトなボディで映画クオリティのSuper 35mm(APS-C)の映像を収めることができます。つまり、わざわざ大げさなカメラを担いでも、出てくる画質に違いはほとんどありません。
ステージに限らず保育園のおゆうぎ会や学校の歌舞劇までをワンオペ〜少人数でマルチカム撮影するSOUNDCOCOONにとって、高画質なのに「小さい」ことは非常に大きな意味を持ちます。
客席にいるお客様からは、ただでさえカメラは目立ちます。それが横に数台並ぶとなおさら視界の邪魔になります。
これを最小のスペースに収めることで、客席中央という一番いいポジションをいただく現場でもなるべくお客様の集中力の邪魔をしないようにする。「黒子に徹する」ことを常に念頭に置いています。
それでも客席をいくつか消費してしまうため、混雑が予想される現場では、DIYで三脚のマウント部分を改造して1つの三脚に2台カメラを載せるような工夫もすることがあります。
最大まで効率を上げると、恐らくショルダー型の大型カメラ1台分のスペースでこちらは3台くらいは稼働させることができるはずです。マルチカムを主力商品に掲げているからこそ、「お客様からの見栄え(邪魔にならない佇まい)」も同時に達成するよう努めております。

「FX2をあえてAPS-Cで使う」という変態的運用の真意
もう一点、先日のNX800とFX2の記事にて、せっかくのフルサイズカメラFX2を「APS-Cモード(クロップ)」で通常運用していることについて、Gemini(AI)にすら変態的運用だと言われる方式ですがこれには明確な意味があります。
SOUNDCOCOONがよく撮影でお邪魔するのは、キャラホール(都南文化会館)や盛岡劇場、北上のさくらホール、先日お邪魔した十和田市民文化センターなど、500〜1000人クラスを収容するいわゆる「中規模ホール」です。北東北における発表会では、最もごく平均的なサイズ感かと思います。

このサイズのホールのステージの奥行きは12m。最後方にホリゾント幕や照明が置いてあるので実質有効なのは「10m」と見ます。「引きの絵(全体像)」を作る際、ステージの右端から左端まで(プロセニアム)を収めるのはズーム調整でどうにでもなりますが、問題はこの「奥行き10m」の全員を高画質で収めきるための設定です。フルサイズカメラのままでは、物理的に絞りが足りない(ピントが全員に合わない)という計算になります。
キャラホールでの例になりますが、左右幅18m、通路を歩くお客様の映り込みを回避するため、動線より前の「客席1段目最後方(約20mの距離)」にメイン三脚を配置したとします。
ここにカメラを置いて、ステージ間口がぴったり収まるようにズームを調整すると、焦点距離は
フルサイズ 約40mm
APS-C 約26mm
あたりになる計算になります。実際、現場では16-50mmのズームレンズの真ん中あたりをよく使うので、非常にリアルな数字です。
この画角で、先ほどの「奥行き10m」の全員にピントを合わせて解像させる(パンフォーカスにする)には、理論上これくらい絞る必要があります。
フルサイズ F14
APS-C F9くらい
「フルサイズも絞れば映るか?」といえばここに大きな罠がありまして、よく言われるのがF11くらいから「小絞りボケ」が始まってしまう、つまりせっかくフルサイズセンサーを使ってもホールの奥行きをしっかりボケずに撮る設定をすると、レンズの限界で逆に画面全体がモヤッとボケてしまうという矛盾が発生し、かえって画質が落ちるリスクが発生します。
またフルサイズと言えどもこんなに絞っては真っ暗になってISOをアップする必要があり、さらにノイズとの戦いとなってしまいます。
そんなわけで行き着いた、現場の感覚と家に帰っての計算で出した結論が
「APS-CのF8絞り」
になります。F8は大抵のレンズで「最も解像力(シャープさ)が高くなる美味しい絞り値」で、いまうちでラインナップしているレンズも、すべてこの値がベストな描写をする構造になっています。
正直に言うと、APS-CのF8でも、10mの奥行きすべてをバリバリに解像させるには計算上わずかに被写界深度が足りません。しかし、この「少し足りない」が味付けになり、手前のダンサーは3列になっても顔がはっきり、最後方の背景は少しボケている、という状態を作ることで、人間の目の注目先をダンサーに誘導します。
以前はこの特性を利用してマニュアルフォーカスでステージ中央よりちょっと前の置きピントをしていたのですが、今はAIフォーカスなので暗転しても緞帳が下りても問題なくカメラ任せにすることができるようになりました。
陰に隠れがちだが現場では名機、SONY FX2

カタログ上のスペック表だけを見ると、FX2はいまいち正当な評価をされていないように見えるかもしれません。
しかし、実戦においてFX30と組み合わせ、あえて「APS-Cモード」で運用したとき、その映像はFX30単体で撮るよりも圧倒的な画質を叩き出してくれるように見えます。高画素化したExmor Rセンサーのポテンシャルは、クロップという制限をかけようがちゃんと応えてくれます。
私はセンサーサイズやカメラが大きければ良いというわけではない、と考えています。大きくすれば被写界深度が犠牲になり邪魔になったりと、必ずどこかに物理的なトレードオフ(代償)が発生します。
もちろん、フルサイズが輝くシチュエーションは山ほどあります。
大切なのはその現場ごとの空間距離を測り、ステージの特徴に合わせて撮影位置、レンズ、そしてカメラの設定を「最適化したシステム」として用意することだと思います。
一発勝負の舞台、一筋縄ではいかない難しそうな現場こそ、SOUNDCOCOONにぜひお任せください。
10年後の自分に、鮮明な思い出を。
SOUNDCOCOONの撮影サービス




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